有人宇宙システム(東京都)から昨秋、浜松市に寄贈された「宇宙スミレ」の一部が、今月に入り初めて花を咲かせた。育成を担う同市天竜区春野町の「すみれ草花愛好会」は、「季節外れでびっくりしたが、宇宙スミレも開花することが分かった」と喜ぶ。種から発芽させた苗を町内の全小学校に配り、子どもたちと一緒に来春の一斉開花を心待ちにしている。
宇宙スミレは、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で管理され、昨年7月に宇宙飛行士の若田光一さんと一緒に帰還したコスミレ。愛好会のメンバーが今月5日、同会のハウスで、約20ポットが花を咲かせているのを発見した。
筑波大の研究者に問い合わせたところ、この時期の開花は宇宙空間に滞在した影響からではなく、「暖かい気候で春と勘違いしたためではないか」と回答があったという。同会の渡辺せつゑ会長は「育成に責任を感じており、ともかく、咲くことが分かってホッとした」と胸をなで下ろした。
「すみれの花咲く頃」を作詞した宝塚歌劇団の演出家、故白井鐵造さんの出身地として知られる同町では「スミレの里づくり」が進行中。小学生も同会のアドバイスを受けながら、宇宙スミレの育成に取り組んでいる。